第13回ジオマンシーショートストーリー ケース13「白」〜イチカの場合〜

ジオマンシーショートストーリー

ジオマンシーは、アラビア生まれのとても当たる占いです。ジオマンシーの16のシンボルにまつわる物語を、一話完結のショートストーリーとしてご紹介していきます。

ケース13「白」〜イチカの場合〜

イチカは大学卒業したら教師になる。

ある日、書店の帰り道、通りがかりの占い館にふらりと入ってみた。

「いらっしゃい。まあ、お荷物重そうね。ここに置いて」

本がずっしり入ったカバンを置いて、うながされるままイスにすわった。


出典:無料素材画像 写真AC

「今日はどうされましたか?」

「あの……仕事のことなんですけど。教師になるつもりでずっと勉強してきたんですけど、でもあたし、教師に向いていないんじゃないかなって」

軽く、仕事運を聞いてみるつもりで入ったのに、なぜか自分でも思っていなかった言葉が出てきた。

占い師は、イチカの生年月日から占ってくれた。

「教師に向いていますよ。勉強が好きで、真面目ながんばりやさん。人に教えることも好きで、丁寧に分かりやすく教えてくれる、いい先生になると思うわ」

イチカは、「でも」とうつむいた。

「自信がないんです」

「適性は十分。でも自信がないのね。それじゃあ、ジオマンシーという占いでみてみますね」

でた答は、『白』。占い師が説明してくれた。

「白っていうのは正義と潔白の色で、あなたの今の心の色でもあるわ。自信がなくて迷ってしまうのは、間違ってはいけない、正しい道を進まなければいけないって強く思っているからなのよね」

「はい。間違うのが怖いんです。ひとりだったらまだいいけれど、人に教えるのに、間違ってしまったら……」

「そのあなたの真面目さと真剣さ、そして自分をかえりみる心こそが、教師に1番必要な資質なんじゃないかしら」

イチカに微笑みかけて、占い師が言葉を続けた。

「本当は世の中には、唯一の正しい答なんてないと思うのよ。たとえば教師になったら、みんなに平等に接しなくちゃいけないけれど、人はそれぞれに違うでしょう? 大きい人にも小さい人にも同じ大きさのベッドを用意するのが平等なのか、大きな人には大きなベッドを、小さな人には小さなベッドを用意するのが平等なのか。どっちが正しいの?」

「それは……」

イチカはこたえられなかった。

「そう。こたえられなくていいのよ。迷って悩むのは当たり前だわ。誰にもこたえられない問題なんだもの。でも、あなたは、考え続ける人なの。目をそらさずに、真剣に真面目に悩むの。だからしんどいわ。しんどいとは思うけれど、そういうところが、あなたの1番の良さなんじゃないかしら」

目の前が、すうっと明るくなっていくような気がした。

「悩んでいてもいいんですね」

占いを終えて帰るとき、本がたくさん入ったカバンを持ち上げるとなぜか、軽く感じた。

「ありがとうございました」


出典:無料素材画像 写真AC

占い館を出たイチカは、初めて教壇に立つその日に着る白いブラウスを買おう、と思った。

 

 

ジオマンシーシンボル「白」のキーワード

公正。純潔。正義。誠実。知性。
*画像は「ジオマンシーカード」「ハピタマ!」です。

 

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占い師・作家:高橋桐矢